やまぐち せいこさんの「ミニマリスト、親の家を片づける」(KADOKAWA、2017年7月発売)、読書感想レビューです。
本書は、ミニマリストのやまぐちせいこさんが、親の家を片付けることになった実録をまとめたものです。ミニマリストが親の家を片付けたらどうなるか、気になるところ。読んでみた感想をレビューしたいと思います。
スポンサードリンク
ミニマリストの実録だからこそ、親の片付けのリアルが見える
著者のやまぐちさんは、急きょ夫の両親の家に引っ越すことに。田舎の義父母の家に同居することになり、義理の親の家を片付けることになったそう。ご自身の親の家の片付けも含めて、実録を本にまとめられました。
整理収納アドバイザーなどで、お客様の片付け仕事をしているわけではないやまぐちさん。お客様の汚部屋を片付ける経験がある方とは違い、ミニマリストがはじめて経験する親の家の片付けなので、リアルな苦労話がたくさんあり、同じ境遇の方はかなり共感できると思います。
ノウハウ本の構成だが、片付け術よりも心理的な考え方が中心
構成としては、一章が家族関係の問題点、二章が親の片付け5原則、三章と四章が片付け二週間の実録、五章がその後の親の家、となっています。
原則やルール作りといった内容でノウハウをまとめられていますが、「親の家の片付け」の心構えや、心理的な部分が多く書かれているのが特長です。
田舎で、モノが多い、昔ながらの考え方の親。戦争を経験して物を大切にしてきた人と、物を最小限にするミニマリスト、それぞれの考え方の違いが生々しいです。合理性を追求される、やまぐちさんのミニマリストらしい考え方がベースになっていますが、家族との関係の中でどう折り合っていくのかを考えさせられる本だと思います。
二世帯家族全員がモノの管理者になれるようにする過程がわかる
モノを残す親の世代と、ミニマリストの子の世代。それぞれの考え方がある中で、著者は40歳を過ぎ「私が明日死んじゃっても大丈夫かな?」という視点で部屋を眺めるようになったそう。
本のタイトルは、親の家の片付けですが、本全体としては価値観の違う家族全員が家のモノの管理者になれるようにするにはどうしたらいいか、実践していく過程がわかる内容になっています。ミニマリストといっても、親との同居、親の片付けで苦労することは同じなんだなと実感できます。片付けを通して、親との関係で見えてくる人生について考えさせられます。
口コミ・評価
良い口コミ・評価
・ミニマリストになれないけど、これは参考になる
・著者の人柄、本音がわかっていい
・親の家の片付けを行う大変さがよく伝わってくる
悪い口コミ・評価
・写真が少ない。もっとビフォーアフターを見たい
・整理収納術としては一般的なものが多く、新しさは特にない
・親への思いやりが薄く、共感しづらい
catasoレーティング
わかりやすさ:3点
実体験からまとめられた本なので、実際片付けを行った時系列や気持ちの変化も書かれていて理解しやすい。
いくつかビフォーアフターの写真があり、こんな汚部屋からよくキレイにできたなと感心させられます。ただ、写真が最初の数ページだけなのが残念。部屋ひとつずつを片付けているので、全ての部屋で細かい写真があったら、もっと評価高くなったと思います。
独創性:3点
部屋ごとに進める、家族のためにラベリングなど整理収納術も出てきますが、そこは既にたくさんの方が情報として出されているので新しさはありません。しかし、ミニマリストが親と同居して、親の家の片付けをしたらどうなるのか、という実際の体験談をもとにしたノウハウ本は初でしょうし、興味深いリアルな実録になっていると思います。
学びやすさ:4点
ミニマリスト本は合理的すぎ、ストイックすぎで、共感しづらい人も多いです。しかし、本書は片付けノウハウだけではなく、やまぐちさんの人柄が前面に出ていて、ミニマリストといえども人間らしさがよく出ていると思います。親との同居、親の家の片付けで悩んでいる人には、共感がしやすく、学びが多い内容になっています。
真似しやすさ:3点
親の家の片付け術やテクニックネタを期待しすぎると、内容的には外しそうです。テクニックに関しては、一般的なものが多く、目新しさはありません。それよりも、家族とのコミュニケーションなど、心理的な考え方が中心。親の家の片付けはどちらかというと、そちらが大切であり、それをうまく真似しないとダメだなと思わせてくれる本です。
総合:3.25点
写真が少なめ、イラストなどもないことから、パッと見て刺激を受けて片付けスイッチを押してくれるタイプの本ではありません。しかしながら、ミニマリストやまぐちさんの実体験だけあって、親の家の片付けをリアルに感じることができる良い本になっていると思います。
レビューまとめ
ミニマリストが親の家の片付けをしたらどうなるか気になっていましたが、合理的な考えのやましたさんでも、親の家となると一筋縄ではいかなかった苦労が見えて、同じような境遇の人には共感しやすい内容になっていました。
親の家の片付けに悩んでいる人、親と同居して片付けに悩んでいる人、こういう方には非常に有益な実録本だと思うので、お悩みの方はミニマリストに毛嫌いせず読んでみることをおすすめします。
スポンサードリンク